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gGAP CC 19.02.03 救急箱とPDCAサイクル

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gGAPは、需要の多い青果物からバージョン6へと移行し、その日本語版も2022年に登場しております。その後、作物展開は長く旧バージョンで維持されていましたが、その置き換え(V6)が 2026年5月1日 となったようです。
認証機関によっては、猶予期間のあるところも考えられますが、JQAなど日本で認証できる期間の場合はこの日を境に適用バージョンが変わるものと推察されます。

この内容を紐解いていくことにいたしましょう。(支援希望の方は こちらから 

19 WORKERS’ HEALTH, SAFETY, AND WELFARE
19 働く人の健康、安全、福祉
19.02 危害要因と応急処置
19.02.03 (下位)作業現場近くのすべての常設の施設と圃場において、救急箱が利用できる。
救急箱は中身が揃い、かつ補充されている状態で(すなわち、現行の規制
に従い、実施する作業に対して適切な状態を維持している)、すべての常
設の施設に設置され利用可能であり、リスク評価で要求された場合、特定
の車両(トラクター、車など)にも備えていなければならない。
(青果物)NIG 20.02.03 救急箱


作業現場近くのすべての常設の施設と圃場という原則の言葉ですが、原文では、
at all permanent sites and fields near the work
という記述です。

つまり、下線部が一体化した文言集団とみなせます。「and」での結びつきがどこまで影響するのか、ということは少し忖度が必要です。
× すべての常設施設および作業場所近くの圃場

また、基準の
リスク評価で要求された場合、特定の車両(トラクター、車など)にも
でも、日本語的には、
リスクアセスメントにおいて、特定の車両(トラクター、自動車など)への配置が必要があるとした場合は、それらの車両にも備えられていなければならない
というニュアンスになりますね。

リスク評価で要求された場合という表記は、リスク評価を他人任せにしている、というニュアンスを感じてしまいがちですが、リスク評価は自分たちで行うべきものです。
gGAP CC 19.02.03 救急箱とPDCAサイクル_b0391989_09584233.jpg
ところで救急箱の中身については、リスク評価との関係がやや薄いように感じられます。

"where required by the risk assessment" のかかり方:

解釈:車両だけにかかる(現在の訳)

  • 常設施設:リスクアセスメント関係なく必須
  • 車両:リスクアセスメントで必要な場合のみ

これでよいのか、というとかなりあいまいですが、あまり追求しすぎると、ほとんど利用しないような対応にまで中身を整える必要が生じてしまいます。
リスク評価を基本と考えるGAPであれば、特定されたリスクに基づいて:
  • 救急箱の配置場所
  • 救急箱の内容物
  • その維持管理方法

これらすべてが決定されるべきであるといえます。


問題は、これらのいずれにせよ、救急箱の中のものをどのようにするかは、生産者自身・働く人など考えることであり、日用品売り場にある救急箱でよい、と考えることは適切ではない、ということです。


これらのように、文言の理解をいろいろな角度で見直してみるということも必要ですが、これが本質ではありません。むしろ・・・

リスクベースアプローチの本質:

  1. 画一的な正解はない
    • 農場の規模、作物、地理的条件、働く人の構成など、すべてが異なる
    • 「こうすべき」という一律の答えを求めるのではなく、自分たちの状況に適した方法を見出す
  2. PDCAサイクルの実践
    • まず現状のリスクを評価し、対策を実施してみる
    • 年次点検や外部審査で有効性を検証
    • より良い方法へ改善していく
  3. 記録と説明責任
    • なぜその判断をしたのか(リスクアセスメントの根拠)
    • どう実施したのか(対策の内容)
    • どう評価したのか(見直しの結果)
    • この意思決定プロセスを記録し、未来に伝える
  4. 継続的改善の文化
    • 完璧を最初から求めるのではなく
    • 実践→検証→改善のサイクルを回し続けること

この基準文書も:厳密な「正解」を示すのではなく、考えるべき要素を提示し、各農場が自らの状況に応じて判断・実践・改善していくための枠組みを提供している、という理解が重要です。



参考:V6 ガイドライン (1)(2)
参考:(GHP)食品衛生の一般原則 2020(ファン限定公開中)
農場経営にGAPを導入する こちら 

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by tm3381 | 2025-10-11 06:15 | GAP | Comments(0)

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