GAP

gGAP CC 18.02 衛生リスクと衛生手順

「黒塗り」・・・
あの下には何が隠されているのだろう? ということは、時々気になりますね。近畿財務局の黒塗り文書はよく当時のテレビニュースになっていました。
黒塗りされた文書は、紙であれば再現は困難です。しかしデジタルの場合、例えば一般的なPDFファイルでも「再現できないはず」と思い込んでしまいがちです。実際には、そうした思い込みを覆す事例が報道されました。
なぜ・どのように逆抽出されるのか・・・
🧱 なぜ逆抽出されるのか:
1. 黒の矩形は「視覚的遮断」であり、情報の削除ではない
2. PDF化してもレイヤー構造が維持される
🔍 どのように逆抽出されるのか:
① コピー&ペースト
② アクセシビリティ機能(スクリーンリーダー)
③ PDF解析ツール
④ OCR(ラスタライズ後)
AI逆抽出リスク評価などにも配慮が必要である、ということらしいです。紙からデジタルになると、紙の常識は役に立たないですね。
--------------------------------------------------すてきな農業のスタイル にようこそ

gGAPは、需要の多い青果物からバージョン6へと移行し、その日本語版も2022年に登場しております。その後、作物展開は長く旧バージョンで維持されていましたが、その置き換え(V6)が 2026年5月1日 となったようです。
認証機関によっては、猶予期間のあるところも考えられますが、JQAなど日本で認証できる期間の場合はこの日を境に適用バージョンが変わるものと推察されます。

この内容を紐解いていくことにいたしましょう。(支援希望の方は こちらから 

18 HYGIENE
18 衛生

18.02 (上位)食品安全リスクを最小限に抑えるための文書化された衛生手順が整備されている。
衛生手順は、リスク評価に沿ったものであり、該当する収穫・収穫後の活動を含まなければならない。働く人、来訪者、下請け業者のための適切な衛生対策について、ピクトグラムや働く人の主な言語による標識で説明していなければならない。
保護具および衣類(スモック、エプロン、袖カバー、手袋、履物など)が必要な場合は、雇用主が提供し、食品安全リスクを最小限に抑える方法で洗浄、メンテナンス、保管されなければならない。
作業開始前やトイレ使用後など、汚染源となる可能性がある場合には、必ず手指を洗浄していなければならない。
衛生手順では、体液による生産物の汚染、病人の報告義務、生産物への病人の接触制限、職場復帰の方針を扱っていなければならない。皮膚の切り傷は覆い、適宜、手袋を使用しなければならない。
衛生手順への違反がないことを、視覚的証拠で示していなければならない。

青果物との相違は、sick people (vomiting, jaundice, diarrhea, etc.), という箇所がある。
コンバイン作物では、このかっこ書きは省略されている。その意味を推測すると、具体事例を明示することでそれに限定する、といった意味にとらえられかねない、というリスクと、また、この相違には以下のような意味もあると考えられる。

🔍 相違箇所の特定

項目青果物コンバイン作物
病人の報告義務reporting requirements for sick people (vomiting, jaundice, diarrhea, etc.)reporting requirements for sick people
その他の文言同一同一

つまり、青果物の文言には病状の具体例(vomiting, jaundice, diarrhea, etc.)が括弧書きで明記されているのに対し、コンバイン作物ではその具体例が省略されているという点が唯一の相違です。


🧭 相違の制度的意図と背景

1. 製品の汚染感受性の違い

  • 青果物は水分含有量が高く、表面が露出しているため、嘔吐・黄疸・下痢などの症状に伴う体液が製品に直接付着するリスクが高い。
  • コンバイン作物(穀物・豆類など)は乾燥状態で殻や皮に覆われており、表面汚染の影響が相対的に低い。

→ そのため、青果物では具体的な症状を明記することで、現場の衛生管理意識を高める必要がある。


2. 作業工程の接触密度の違い

  • 青果物は収穫・選別・包装などの工程で作業者が製品に直接触れる頻度が高い
  • コンバイン作物は収穫が機械化されており、人の手が製品に触れる機会が少ない

→ よって、青果物では症状の具体例を挙げて、作業者の健康状態と製品汚染の関係を明示する必要がある。


3. 制度文書の設計思想:リスクベースの記述

この相違は、GLOBALG.A.P.制度文書が「一律記述」ではなく、作物種別ごとのリスク特性に応じて記述を調整するという設計思想に基づいています。

  • 青果物:高リスク → 具体例を明記
  • コンバイン作物:低リスク → 一般表現に留める

このようにすることで、制度文書が現場の実態に即した衛生管理を促す構造になっています。


こういった食品安全や労働安全、閑居保全などの原則において、青果物と共通する観点と、上述したような、その食品(農産物)の特性により、原則と基準の各項目での重要度合いや取り組みのレベルに相違がある。また、これらはこの衛生のみにあらず、すべての原則に当てはまる。

次いで、基準の最後にある、Visual evidence:視覚的証拠についての具体的な対応としては以下が考えられる。

🔍 Visual evidence の具体的な例

以下は、衛生手順違反がないことを示す「視覚的証拠」として制度的に認められる代表的な事例です:

1. 現場の衛生状態そのもの

  • 手洗い設備が清潔で、使用されている痕跡がある(濡れたペーパータオル、石鹸の減りなど)
  • 保護具(手袋、エプロン等)が清潔に保管されている状態
  • ゴミ箱が適切に設置・使用されている
  • 食品接触面が清掃済みであることが目視で確認できる

2. 作業者の行動

  • 作業開始前に手洗いをしている様子の確認
  • 傷口が覆われている、または手袋を着用している
  • 病状のある作業者が現場にいない(咳、嘔吐などの兆候がない)

3. 掲示物・標識類

  • 衛生手順を示すピクトグラムや標識が、主要言語で明確に表示されている
  • 「手洗い義務」「病状報告」などの注意喚起が視認できる位置にある

4. 記録・点検表の視認性(補助的)

  • 衛生点検チェックリストが現場に掲示されている
  • 清掃記録や保護具管理表が現場で確認できる(ただし、これは視覚的証拠の補助)

これらに対して、自己点検時などにその状態・状況をメモで残すことも有効ですが、もう少し信頼性を高めるとするなら以下のような方法もあります。

解説と解決策は以下の通りです。


✅ メモ記述の有効性と限界

有効な点:

  • 衛生手順の遵守状況を時系列で記録できる
  • 作業者の行動や設備の状態を観察に基づいて記述することで、監査時の説明資料となる
  • 自己点検の履歴として、継続的な衛生管理の証拠となる

限界:

  • メモは視覚的ではなく記述的証拠であり、制度文書が求める「目視確認可能な状態」とは異なる
  • 第三者(監査員)が現場で即座に確認できるものではない
  • 書かれた内容が実際の現場状況と一致しているかどうかの検証が困難

🔧 補強策:視覚的証拠としての信頼性を高める方法

以下のような手法を併用することで、メモ記述を補強し、制度的要件を満たす「Visual evidence」としての信頼性を高めることができます:

1. 写真記録の併用

  • 手洗い設備の設置状況、清掃済みの作業台、保護具の保管状態などを定期的に撮影
  • 撮影日時と場所を記録し、メモと紐づけることで現場状況の可視化が可能

2. 現場掲示物の整備

  • 衛生手順や注意事項をピクトグラムや標識で表示し、誰でも目視確認できる状態にする
  • 掲示物の設置状況を写真や点検表で記録

3. 点検チェックリストの現場掲示

  • 衛生点検の項目を一覧化し、現場に掲示またはファイル化しておく
  • 点検者の署名・日付を記入することで、実施の証拠性が向上

4. 第三者による定期確認

  • 衛生管理責任者や外部監査員による現場確認を受け、視覚的証拠の妥当性を裏付ける

以上

参考:V6 ガイドライン (1)(2)
参考:(GHP)食品衛生の一般原則 2020(ファン限定公開中)
農場経営にGAPを導入する こちら 

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by tm3381 | 2025-10-02 06:15 | GAP | Comments(0)

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