GAP

gGAP CC 02.03 スキルとコンピテンシー

「シースルー法」・・・
その昔のファッション(1968年頃)にありました。それではありませんし、人間のことでもないのですが、頭蓋骨に外科的な措置をしないで、脳の活動をとらえる、という画期的なことだと思います。
また、海外での話かと思って記事を読むと、なんと日本の大学での研究成果のようです。
さらに、観察したいときだけ頭蓋骨を透明にし、観察後には元の状態に復元できる「可逆性」を有するとあります。
言葉は同じですが、用途はずいぶん違いますね。
--------------------------------------------------すてきな農業のスタイル にようこそ

gGAPは、需要の多い青果物からバージョン6へと移行し、その日本語版も2022年に登場しております。その後、作物展開は長く旧バージョンで維持されていましたが、その置き換え(V6)が 2026年5月1日 となったようです。
認証機関によっては、猶予期間のあるところも考えられますが、JQAなど日本で認証できる期間の場合はこの日を境に適用バージョンが変わるものと推察されます。

この内容を紐解いていくことにいたしましょう。(支援希望の方は こちらから 

RESOURCE MANAGEMENT AND TRAINING
2 資源管理および教育訓練

02.03 (上位)働く人の教育は、必要な技能と能力を含み、記録によって裏付けられている。
  • 働く人は、割り当てられた作業において能力を証明できること。
  1. 特定の教育が必要とされる作業には、農業用薬剤、消毒剤、植物保護製品(PPP)、殺生物剤、その他の有害物質の取り扱いおよび使用、ならびに機器の操作が含まれる。
  2. 教育の証拠には、出席記録、修了証、その他の関連資格が含まれる。
  3. 外部委託業者(サブコン)は、生産者によって教育を受けるか、過去の教育または資格によって能力を証明できること。
  4. 教育記録には、初期教育(導入教育)か再教育(更新教育)かを明記し、両方の教育が記録されていること。

原則に対しては、本来、一番目の項目がクリアできれば良い、という考え方もできます。しかし、それを把握し評価することは困難です。よって、二項目以降の間接的な評価を行うこととなっていると理解してよいでしょう。
ということであえて、一項目目と、二項目目以降を分けて表記してみました。

項1については、該当する作業をしている方を対象として、記述されている操作に関する、項2や項4の文書などを示せることになります。
項2および4は、ほかの原則で要求されている教育訓練に関する要求で示せることが重要です。それらにおける指摘において仕組みに問題があるようでしたら、この原則での指摘になると思います。
項3は、生産活動の一部を外部委託している場合に該当し、その委託事業者や委託作業者に対する要求であるといえます。そのためには外部委託契約にそれらの要求を明示しておくべきであるといえそうです。
gGAP CC 02.03 スキルとコンピテンシー_b0391989_09520788.jpg
ちなみに、skills and competencies について
「skills(スキル)」と「competencies(コンピテンシー)」は、どちらも能力に関する言葉ですが、制度設計や教育設計においては意味と役割が異なります。以下に構造的・制度的・実務的観点から違いを具体的に整理します。

🧠 定義の違い

用語定義特徴
スキル(skills)特定の作業やタスクを遂行するための習得された技術・知識の応用力実践的・測定可能・短期習得可能
コンピテンシー(competencies)スキルに加えて、態度・行動・価値観・状況判断力などを含む総合的な職務遂行能力包括的・行動特性・文脈依存・長期育成型

✅ 具体例での違い(農業現場を想定)

作業スキルコンピテンシー
農薬の希釈希釈倍率の計算、計量器の使用安全性への配慮、周囲への説明、記録の正確性
トラクター操作運転技術、操作手順の理解作業計画の立案、周囲との連携、事故予防意識
収穫判断熟度の見極め、収穫道具の使い方品質基準の理解、天候判断、チームとの調整

✍️ 制度設計上の位置づけ

  • スキルは、「できること」 作業を“正しくこなす”力
  • コンピテンシーは、「どうやって、なぜそれをするかまで含めた行動の質」 作業を“意味を持って遂行する”力

制度文書で「skills and competencies」と並記されるのは、単なる技術習得だけでなく、制度的信頼性・現場納得感・持続可能性を担保する行動特性まで含めて教育すべきという意図です。


🧠 教育設計への応用

教育対象スキル中心コンピテンシー中心
新人研修作業手順・安全操作基本的態度・制度理解・責任感
中堅研修応用技術・記録精度判断力・改善提案・現場調整力
管理者研修作業管理・制度運用意思決定・対話力・制度設計力



次いで、少し視点を変えて、既存の働く人の中から責任者を育成する、ということを想定し、その能力を育むためにはどのようなプロセスが考えられるでしょうか。

🧠 技術的意思決定力の習得プロセス

① 関心を持つ(知的好奇心+制度的問題意識)(Awareness)

  • 単なる興味ではなく、「制度のどこが現場にとって不合理か」「なぜこの判断が必要か」といった設計的問いを持つこと
  • 例:施用量の根拠は何か?記録様式は現場にとって意味があるか?

② 教育を受ける(制度+科学+美学の統合)(Knowledge Acquisition)

  • 制度研修だけでなく、土壌学・植物生理・化学反応・記録設計などを横断的に学ぶ
  • 美学的判断力(過不足のない施用、調和ある記録)も含めて育てる

③ 現場で応用する(納得感+設計力の実践)(Application)

  • 現場での施用判断や記録作成を通じて、制度と現場の接点を設計する力を養う
  • 例:記録様式を現場に合わせて再設計する、施用判断の根拠を文書化する

✍️ 補足ステップ

④ 対話する(納得感の形成)(Reflection & Dialogue)

  • 現場の声を聞き、制度や判断の妥当性を再検討する
  • ワークショップ、ヒアリング、改善提案の実施

⑤ 記録・設計に落とし込む(Documentation & Design)

  • 判断の根拠や構造を記録に反映させ、制度文書や様式を改善する
  • 技術文書の再構成、記録様式の設計、制度提案活動

⑥ 継続的に更新する(Continuous Learning)

  • 技術情報・制度改正・現場ニーズを定期的にキャッチアップ
  • 学会参加、行政通知の確認、技術ニュースの購読

山本五十六の言葉があります。
その最後の一言 「人は動かじ」は、制度が人を動かすのではなく、納得と信頼が人を動かすという警句 だということです。
※ルールを決めて押し付けるだけではだめである、という言うことですね。

「ルールを守ること」から始まり、
「なぜ守るのか」を語り、
「どう守るか」を共に考え、
「守ることが誇りになる」ように設計すること。



参考:V6 ガイドライン (1)(2)
参考:(GHP)食品衛生の一般原則 2020(ファン限定公開中)
農場経営にGAPを導入する こちらから 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ヘッダー記事移動場所)

更新を通知する 設定解除もできます
注意書きは こちら    ---END sutekina

by tm3381 | 2025-08-30 06:15 | GAP | Comments(0)

未来につなぐ農業を応援いたします


by トシ
カレンダー