GAP

教育訓練の記録、しかし実施は計画的に

国民の皆さんと共有したい・・・これはリスクマネジメントからいうとどのような意味になるのでしょう。
この共有しておきたいことが何かにもよりますが、もしこれが共有したい側の「リスク」なら、国民はその「リスク」が移転される側となります。
いわゆる「リスク」を丸投げされたことになる、ということです。
一方で、「共有持分の放棄」という概念もあるようで、その意味には「国や地方自治体と私人からなる共有関係において、私人が共有持分を放棄したとき等は、その持分は共有者である国や地方自治体に帰属する。」とあります。(wikipedia

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リスク評価し、その対策を講じる、それらを文書にしたのがリスク評価表、それを要求されているのだから作成する、というロジックは間違いです、というお話は致しました。
そして、あるべき姿としては、
リスク評価 ⇒ リスク対策(案) ⇒ 対策案の妥当性確認 ⇒ 手順書の更新 ⇒ 更新内容の周知(教育訓練) ⇒ 更新した手順の運用開始 ⇒ 運用開始した更新後の手順の現場確認(記録) ⇒ 更新した手順での評価結果の周知 ⇒ (更新した手順の定着) (下線部:実践されている状況と言える範囲)
であって欲しいという思いです。

前回までは、(4)手順書の更新までの流れを、ふたつの管理点で考察しました。
FV.5.1.1(20.12.24) 衛生リスク評価
FV.5.1.2(20.12.25) 対策をしたことが書かれた衛生手順書や衛生指示書
FV.5.1.3(20.12.29) 衛生手順書や衛生指示書に基づく行動(実践)
という管理点の順番になっていますが、FV.5.1.3 はこの流れの最後(:定着)になりますので、後回しをして、(5)更新内容の周知(教育訓練)に相当する箇所の考察となります。

管理点 FV.5.1.4 (上位)

作業者に対し、収穫・選果作業に先立って衛生に関する具体的な教育を行っていますか。
作業者が、収穫および選果場作業時の衛生手順についての具体的な導入教育と年次教育を受けたという証拠があること。作業者は、文書(適切な言語で書かれたもの)や図による指示を用いた教育訓練を受けることによって、収穫作業中の物理的汚染(たとえばカタツムリ、石、昆虫、ナイフ、果物の残渣、時計、携帯電話等の購入)、微生物的汚染、化学的汚染を防がねばなりません。教育訓練記録と参加の証拠が確認できなければなりません。


教育訓練については、全農場基本(AF)にある、管理点 AF.4.2.1 活動(日時と講師や内容等)と出席者についての記録 に関する要求でした。

それをここに当てはめると、
内容:収穫と収穫後の取扱いの段階で衛生に関すること
 ⇒ 衛生手順書に記載されている内容や衛生指示をしている意味等
講師:農場長または力量のある人で任命(周知)されていること(責任者:FV.5.1.3)
等が記載されていたり、別紙添付されていたりする記録が必要で、その記録には当然のごとく、出席者が記録されている必要があります。
教育訓練の記録、しかし実施は計画的に_b0391989_16263530.jpg
この適合基準で、日本のGAPとの相違は、特にASIAGAPではHACCPベースとなりますので、危害要因が対象となり、その意味は喫食者の健康被害となります。よって、たとえば、毛髪や昆虫は物理的危害と言えない、という見解もあります。
ただ、ここでは、農産物における危害要因ではなく、「収穫作業中の、物理的汚染、微生物的汚染、化学的汚染」を防ぐことが想定されています。

一義的に、つまり、この意味はこれ、というようなことではなく、物理的な視点、つまり作業中に目視で確認できるような事象、この局面で行うべきこと、あるいは農場が認識すべきこととして、これらの内容についても目を向けていくことの重要性を意図しているものと思います。
こう書いてあるのだからこうでよい、というのはスキームオーナー側の説明でも散見され、その真意は農場運営の現場で起こっていることに対して、どのようにしていくべきなのかという、ある種の危機感を持って臨んでほしいものだと思います。

収穫・選果作業」における留意としての、別紙での危害要因がいくつか事例として取り上げられています。
ただし、5.5 機器 に含まれるモノですので、ここでの考察の対象「収穫および選果場作業時の衛生」ということになりませんので、そのうちの危機に関してのみの危害要因であると理解して参考にしてほしいと思います。

5.5.1 収穫容器と収穫用具
・汚れた収穫容器は道具の使用
・収穫容器や道具の土との接触
・十分な教育を受けていない作業者
・汚染物質との接触
・他の目的での使用
・ゴミ、廃棄物
5.5.2 収穫機械と収穫用機器
・収穫物の損傷
・収穫機械・機器の汚れ
・運搬時の汚染
・交差汚染
5.5.3 収穫物の一時保管
・圃場での放置
・保管場所の汚れ
・保管用の建物や小屋のメンテナンス

これらにガイドライン的に参考事例として、リスク低減対策が記載されています。ぜひ参考にしてほしいと思います。


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by tm3381 | 2020-12-26 06:15 | GAP | Comments(0)

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