GAP講習会


 こんにちは 
すてきな農業のスタイル にようこそ
どのようにしてGAP認証農産物できたのか・・・
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GAPとはどういうことを言うのか
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GAPとは、農場や団体における、それぞれが適切だとした管理ができていること、である。
ここでのキーワードは、「適切である」と、「管理ができている」となる。
「管理ができている」は、さらに、
「管理」とは、と、「できている」とは、
に分解できる。

「適切である」とは、
農産物が何に該当するのか、ということがまずは前提になります。
農産物とは、以下のように規定されています。
作物が圃場で収穫されたあとは「農産物」とよび、収穫前の「作物」とは区別する。
とあります。
一方で、「農産物」と、「食品」との関係性においては、「農産物」≒「生鮮食品」だと理解しておくことが良いと思われます。
これは、農場が出荷する農産物がすでに「生鮮食品」となっている場合と、何らかの加工や調理をしなければならない農産物の場合があるからで、後者は生鮮食品とは言えません。
参考:食品表示法 第二条 (この法律では)「食品」とは、全ての飲食物(医薬品類を除き、食品添加物を含む)をいう。

それでは、「適切である」ということについて、以下の5要素にまとめてみました。
 (1) 法令を順守している、生産のやり方や農産物の品質
 (2) 要求を満足している、農産物の品質、あるいは量や納期
 (3) 農産物生産にかかる、全ての資源管理及びヒトの衛生管理や労務管理
 (4) 健康被害を起こさない、生産環境や生産方法、農産物の品質
 (5) 生産作業における労働安全

(1) 法令を順守している、生産のやり方や農産物の品質
農業経営における、法令遵守には、例えば以下のようなものがある。
・食品安全 ➡ 食品安全基本法、食品衛生法
・労働安全 ➡ 労働安全衛生法、労働基準法
・環境保全 ➡ 
悪臭防止法、省エネ法、環境保護法、湖沼水質保全特別措置法、国土利用計画法、自然環境保全法、循環型社会形成推進基本法、消防法、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律、水源地域対策特別措置法、水質汚濁防止法、生産緑地法、生物多様性基本法、騒音規制法、、大気汚染防止法、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律、毒物及び劇物取締法、都市緑地保全法、土壌汚染対策法、農薬取締法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、労働安全衛生法 等
・差別や平等、人権保護 ➡ 
労働基準法、障がい者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、世界人権宣言、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律 等

(2) 要求を満足している、農産物の品質、あるいは量や納期
主に顧客側からの要求が前提で、それが特にない場合は、農場側が農産物をアッピールする上で定めておきたい規格基準などを策定したものとなる。
参考:食品衛生の一般原則の規範 の中の項目
   9)製品の情報および消費者の意識

(3) 農産物生産にかかる、全ての資源管理及びヒトの衛生管理や労務管理
資源とは、経営資源であって、農場内に存在する有形無形のものを指す。有形のものには、従事者全員、圃場、施設、設備機械、器具道具、包装資材、文書帳票記録類などがある。無形のものには、権利や情報、電力、売上や利益などがある。
無形のものである情報はできるだけ、紙や画面などで確認できるようにする。有形のものの管理は、一般的には一覧表による全容の把握から始まり、それぞれの取扱や保管などに留意し、適切定期的保守を心がけて、いつも使用可能で期待した状態となっていることである。

(4) 健康被害を起こさない、生産環境や生産方法、農産物の品質
農産物の品質における健康被害の予防や防止は、法令遵守によるものとして良いが、生産環境の整備や生産方法の確立は農場独自の考え方によるものでもある。
参考:上記に同じ(食品衛生の一般原則の規範)
   5)取扱いの管理
   8)搬送

(5) 生産作業における労働安全
基本概念は、法令の順守にある。施設構造は農場の設計要件や設計者の衛生管理の理解等によることが多い。また、生産に使用する機械や設備も同様に、農場側の要求事項を満たす機械設備であること、また、それを設計製造検査する製造側の食品安全、労働安全の理解によることが多い。

このようなことは、特段農業にだけ関わることではなく、どのような産業にも当てはまる事項であったり、基本的なものであるため、適切云々の前に、法令やルールあるいはマナーの遵守は当たり前のことであるとも言えます

では、「適切である」とはどのようなことを言うのだろうか?
農場や団体が考える、ある時の状態が上記の「適切である」としている状況となっていることであり、かつ、あるときだけではなく、いつでも、そのようになっていることである。その状態をいつの時点でも状況として認識できるようにするためには、適切なものを、適切なヒト・機械などが、適切な方法で、適切な確認を行っていることであり、このことを「手段が適切である」と言いかえることができる。
「手段が適切である」とは、適切な手順が決まっていて、その時に、その人が、その場所で、適切な手段を実行することになる。
その時とは生産工程の工程のことであり、そのヒトとは責任者や作業者又は訪問者のことであり、その場所とは生産工程が行われる場所となる。
結果的には、生産工程やその場所を明らかにし、その工程ごとに作業手順やその作業での責任者がやるべきことを明示することになり、一般的には文書(作業手順書等)として作成されるものとなる。また、この作業手順書に基づいた、責任者が行う指図内容を記載した指示書などの帳票、同時にその帳票は記録書ともなるが、このような指図記録書等も整備することになる。
余談ではあるが、GAPは生産記録であるという、迷信のようなGAPのことを意味する表現もある。記録は必要であるが、記録を作成するのではなく、責任者が指示をすることが重要なのであり、指示文書がほぼ記録であり、その指示文書に作業したことを記入することであり、それを指示者や責任者が確認しち、確認したことを示したものを、記録文書だという、そのよつな理解が進むことが期待される。
ここまでで、「手順が適切である」いうことを全て書き表しているわけではない。その作業手順書に記載するべきことはどのようなことになるだろうか? それがすぐにわかるのであれば、GAPの取組みでも迷うことはないだろう。つまりは、この記載するべき内容をどのようにするかがわからないから迷いが生じることになる。その解決策が、GAPスキームの要求事項の理解と、現状認識や、リスク評価と対策にある。


「管理」とは、
何のための管理を指すか、ということともいえる。つまり、管理する目的である。
(1) 適切なことをさせるために 「計画①」
(2) 適切なことが実行できるために 「計画②」

  ---- 「実行」 ----
(3) 適切なことが実行できていることがわかるために 「評価」
(4) 適切だといえないことは見直して 「改善」
(5) 農場運営が継続するために 「持続可能性」


(1) から、(4) までは、いわゆるPDCAサイクルを意味する。この中の、「評価」についてはいくつかの切り口がある。農場のルールや適切な作業手順の通りの行動・活動等が行われているのかどうか、行動や活動を行う上での無理・無駄・ムラ等がないかどうか、行動や活動におけるヒヤリハット等がないかどうか、それらの評価結果が組織内でレビューされているかどうか、あるいは経営者と従事者間のコミュニケーションはできているかどうか、というようなことが「評価」に相当するだろう。
PDCAをもじって、CAP-Dサイクルと評することもある。このサイクルは、どこを基点としてもかまわない。サイクルであるので、必ず一巡りすることになり、このサイクルは同じ内容の繰り返しのことではなく、留保したことや気づかなかったことなどを新たに追加し、確実に適切なことは改善対象から外すなど、同じことを繰り返すわけではない。
何故、サイクルを「C:評価」から行うとよいのか、というと、計画からやろうとすると、計画から構築しなければ、感覚的な改善作業もできないからである。問題を含んでいるかもしれない活動行動(実行)が行われているかもしれない、そのことはたちまちに商品におけるクレームや健康被害の発生、あるいは、作業者の労働災害の発生などを起こしてしまう可能性があり、それを暫定的でも対応が可能になるからです。
上記のように、「評価」から説明を始めたことも、この意味もあってのことです。
例えばの評価事例はスライドに記載します。

順番としては、「改善」となるのですが、「改善」はやればよいのではありません。「計画」につなげる必要があります。このことは、気づいたらすぐに改善してしまうことを禁止するという意味もあります。何故でしょうか? 改善は一般的な認識において、良くすること、よくなることを意味します。しかし、改善した内容は、本当に良くなることに繋がるだけでしょうか?
確実に良くなるなら結果的には良かったことになりますが、そのように確定的な根拠はあるでしょうか? やってみなければわからない、ということもあります。
つまり、この確定的な根拠となることを見出す、つまり、検証を行うことが必要になります。「検証」とは、やってみて結論を出すことですが、実際にやってみてもかまいませんが、テスト的に計画して、その結果を記録するという方が望ましいでしょう。このようなことを英語ではバリデーション(Validation)と言います。バリデーションとは、妥当かどうか確認する、ことになるのですが、妥当性評価とも言われ、想定した範囲内に結果が納まるかどうかを確認することになります。どのようなことを評価するのかというと、評価結果からの対応策です。
対応策として考えたことが本当に正しいと思えるかどうかになります。
例えばこんなことがあります。
倉庫内で、機械保管場所のすぐ横にガソリンや軽油を保管していると、不適切な取り扱いで火災になる恐れがあるからと、保管している燃料を別のところに移動する。
これは本当に正しいといえるか? たしかに、その場所から燃料がなくなるので、そこでの火災の恐れは少なくなるでしょう。しかし、その燃料を移動した先ではどうでしょうか? 今まで問題がなかったはずなのに、移動先に問題が移るだけになりませんか? 
可燃物が火災の原因となるには、発火源が必要です。それを防止する策の方が良くないですか? 
このような事例もありますので、何もかも問題視して、問題となるものを排除する考え方がすべて正しいともいえません。ケースバイケースでの対策をすることであり、ひと言でいえば、「合理的で実現可能な範囲」で、検証されている対策を以て、「改善」と言えるでしょう。

ただし、「改善」即「実行」ではありませんね。「計画」があります。
「計画」とは生産計画のような計画もありますが、実行のための「計画」と考えるようにしましょう。つまり、どのようにしていったら実行するところまでこぎつけることができるのか? ということを考えて、その仕組みや順序立てをすることです。
特に、作業手順などについては、教育訓練が必要です。いきなり言われて、いきなり見せられて、できる方も少ないでしょう。また、間違って覚えてしまうと、思ってもないことが発生してしまいます。今までのことをやりかえるような場合は特に留意する必要があります。
このようにして、「計画」ができれば、それを運用開始することになります。始まったら責任者の方などは、思った通りに実行されているかどうかを、行動として定着するまで見極めることが重要になります。
一方、上述のように、「計画」には二つありました。ここまでは、「計画②」のことです。
「計画①」の、適切なことをさせるにはどうしたらよいでしょうか? (責任者)「いつも言っているんだけどね」という言葉が良く聞かれます。この方は、いつも言っていればいずれ(作業者が)行動してくれると思っているのです。このような責任者のもとで作業すると大変ですね。自分の言葉で言うだけで、作業者のわかるようには言わないし、その努力もしない、考えもしない責任者です。
このような言葉が漏れ出てくるような責任者がいるなら、経営者は認識を新たにしないといけないですね。
評価結果のレビューを受けるときに、経営者はこのことに留意して聞くことが必要ですね。そして、レビューした結果で経営者からの方針などが出されることです。そしてその方針の評価をすること、期限を決めることなど、間接的にPDCAサイクルに関与しなければなりませんね。

さて、「管理」についての理解はできたでしょうか。
経営者及び組織にPDCAサイクルに取組む姿勢があること、PDCAサイクルでやるべきことや留意点を理解していること、農場の状況を把握する仕組みとして整っていること、把握した状況から効果的で無理のない改善ができる力量を備えていること等があげられますね。


「できている」とは、
「適切であること」と、「管理」することの意味が理解されていれば、「できている」こととの間にどのようなことを想定しているか、ということ次第ですね。
どのようなことを想定するかは、農場の状況によって大きく異なります。
「できているべきこと」自体も、時代の要求や顧客の要望などによるでしょうし、それに対応する農場側の力量如何ともいえます。このように、「できているべきこと」は時代とともに変化していきます。この変化に追随することも重要ですが、無理を強いても、結果は伴わないかもしれません。「合理的で実現可能な」視点を持つことと、リスクについての理解次第になるかと思います。
この「できている」こととの間にあるものとは、上述の計画の元ネタになるでしょう。それは、農場ルール、管理マニュアル、作業手順書、(指図を含む)記録帳票などの文書類と、経営環境の整備等が十分に整っていることです。
そして、運営組織の課題です。農場の持続可能性には、人材育成には欠かせないものです。担当者が退職したのでできなくなったというようなことにならないように、属人的な運営はできるだけ少なくすることでしょうね。
そのようなことが整っている、活動している状況において、「できている」ことを確認する方法はやはり記録と現場の状況になりそうです。

記録ではどのようなことでできていると見えるでしょうか。
管理のための記録帳票のリストがあって、その記録帳票にはやるべきこととしての手順に沿ったものであるか、責任者の適時の指図や指示に基づくものであるか、いずれかが明示されていて、やるべきとしたものが記録としてあり、指図や指示に対する記録が整っていることになります。
次の現場の状況との関係においては、やるべきこととした記録に伴う状況が見て取れるか、ということになりますので、教育訓練などの記録内容が重要になります。
現場の状況では、どのようなことでできていると見えるでしょうか。
現場の状況は、その殆どが、教育訓練の賜物です。そして、その状況というのは、単に視察時点だとか、審査時点というだけではありません。「いつも」ということです。

難しくいうと、例えば、食品安全においては
・仕組みを作っていること (PRP、OPRP、HACCP)
・仕組みを動かす体制があること (システムマネジメント)
・体制の機能維持が伴っていること (コミュニケーション)
というような内容となります。

以上、どのようなGAPでも、こういったことはすべて同じようなことを要求しています。経営的に、どのGAPが自分の農場にあっているのかを判断するとよいでしょう。
ただ、合っているかどうか、と言われてもよくわからない、ということであれば、東京都の場合は東京都GAPが好ましいでしょう。しかし、東京都GAPに取組んで、例えば認証されたとしても、それで満足してよいかどうかは別問題です。
GAPとは危害発生から見ると、その予防策として有効なものです。管理点数だけではありませんが、世界的に通用するようなスキームを取入れることも有効になるでしょう。

ところで、「認証」について
「認証」には、それなりのステータスが伴うことも確かです。
しかし、現実的には、農場に「認証」があったとしても、食品危害を発生させてしまうような恐れもあります。それは、審査員等による「認証」審査においても、農場活動の365日間を評価することはできません。記録で評価できるといっても、全ての記録を見れるわけでもありません。トレーサビリティや農薬などの使用履歴と在庫など、管理点で関連するような事例を2~3点程度無作為抽出して、その整合性を確認することで、上述「管理ができている」かどうかを判断することになります。また、農場でも当然その当日の前には、審査員が見るということでできているように見せかけたり、現場でも普段と違って綺麗にしているでしょう。このような状態を審査員が見ても、普段の、あるいは365日の農場の姿を見ることはできません。
また、審査においては、農場の更新などを阻害しようとして審査しているわけでもありません、多少は甘くなる場合もあります。このような状況であるので、「認証」されたからと言って、農産物の安全を完全に担保できるかと言えば、認証状態にないよりは良い、という程度になるかもしれません。つまり、GAP(認証)を取得する、ということは万全ではないが、取らないよりは良いかもしれない、ということですね。

さて、農場でGAP認証を取得する、あるいは農場にGAP的な考え方を取入れる、そのGAPにもいくつかの種類があるので、それらについて少し・・・

(1) 東京都GAP 管理点88
審査ではなく、調査が行われます。東京都の事情に合わせた管理点で、リスク評価も含まれます。そのため、東京都の農業者が取り組むに適しているでしょう。また、当分の間、調査費用は掛からないと聞いています。農場前や近郊で直販する、都内の量販店に販売する、学校給食の食材用に販売するような場合には適切でしょう。ただし、団体認証の仕組みは整っていません。
(2) JGAP 2016 管理点120
日本GAP協会がスキームオーナーのGAPです。認証を得るには約6カ月程度で取得する場合がほとんどです。初回認証の助成金による補てんが望めます。国内に出荷する場合、特に不足はない認証スキームです。
(3) ASIAGAP V2.2 管理点163
同じく日本GAP協会がスキームオーナーです。GFSI承認されているスキームですので、世界対応と見做せます。ただし、輸出するような場合は、実際に取引する販売先の意向にもよりますので、適合しないということもあり得ます。また、国内流通想定の農家でも、管理面や予防面での精度アップとして、取組む農家も多くなっています。
(4) Global G.A.P. V5.2 管理点209
GAPを世界的に最初に構築したスキームで、歴史は最も長いものです。ASIAGAPともに、GFSIに承認されたスキームです。取組む場合に、解説が整っているので、よく読めばコンサルがなくても認証可能ですが、おおよそ1年程度の期間が標準のようです。
ただし、現状国内での審査員不足などにより、新規の初回認証受付が滞っているようです。そして、費用も最も高くなります。おおよそJGAPの5倍程度を見込む必要があります。

顧客からの要求がないのであれば、後は農場経営者の将来を見通した決定事項になろうかと思われます。

最後に、GAPの考え方を取入れた運営をするということは、上述の適切な、というところに対する遵守ができている状況にある、ということも言えます。これらの法令の内容は理解していなくとも、これらに準拠した管理点を有していることに農場経営の安心感があるのではないでしょうか。


管理点と適合基準の解説一覧は こちら 
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by tm3381 | 2019-12-13 06:15 | GAP | Comments(0)

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by トシ